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とある魔術のindex_html

すきなものについて語ります

菅野よう子『Dear Blue』と、A(ラ)の音

音楽 菅野よう子


Dear Blue (好きだ、 OST) - 菅野 よう子 - YouTube

この曲は菅野よう子のCM楽曲を集めた『CMようこ』に収録されている唯一の映画劇伴曲。 映画サントラはその映画のタイトルでCD化されるのが一般的ですが、この曲は『CMようこ』に収録されました。 それは映画『好きだ、』では音楽が2曲しか使われていないためと思われます。

※もう1曲はDVD『ユウのいた風景』に収録されています。

劇中では『Dear Blue』のフレーズがたびたび登場します。宮﨑あおい演じるユウが口ずさんだり、瑛太演じるヨースケがギターで練習したり。 映画のエンドロールで流れる『Dear Blue』はそのフレーズを繰り返していて、映画を観たら絶対にその後しばらく脳内ループする。 メロディは同じまま、コードや楽器編成など、メロディをとりまく周辺環境が変化していく構造になってる(この手法、作曲をやってる人が絶対に通る道だと思う)。

映画に登場するユウとヨースケは、高校時代から言葉に出来ない気持ちを抱えたままおとなになって、住む場所も変わって。 正直つらいシーンがいっぱいあるのですが、あらゆる事情を飲み込んで淡々と時間が流れる。この繰り返すフレーズはその象徴なんだろうな。

ところで『Dear Blue』には前身とおもわれるCM楽曲『Sougen』があります。このメロディで菅野さんは広々と続く風景、風がそよぐ草原のような場所をイメージしているのかも。

ハウス食品クリームシチューのCM。ほっとする。


Sougen / 菅野ようこ - YouTube

『Sougen』ではE♭だったものが、『Dear Blue』ではAになっています。 なんでキーを変えたのかなぁと考えてみて、2つの理由があるのではないかと思いつきました。

1.ギターでの演奏難易度

ギターの開放弦の音はE、A、D、G、B、Eなので、E♭だとギターを始めたばかりの男子高校生が爪弾くものとしては難しそう。Aなら開放弦で鳴らせる音が多くなるのでちょっと演奏が簡単になります。

2.光に包まれた情景を表現

菅野さんは、空から射す陽光を表現したり、光にあふれた景色を描くのにAから始まるメロディをよく使います(※個人的見解)。 ぱっと思いつくだけでも、曲の出だしやサビがAから始まる曲はこんなにある。

  • WANNA BE AN ANGEL
  • トライフルソング
  • ESCAFLOWNE
  • Sora
  • ストロボの空
  • 木登りと赤いスカート
  • Heavenly Blue
  • gravity
  • power of the Light
  • 約束はいらない

いずれも、空や光、天空、天使が描かれているものばかり。

『Dear Blue』もそのひとつで、光にあふれた遮るもののない川辺の風景を描くために『Sougen』のフレーズを使いつつ、キーをAにしたのかなという気がしました。 タイトルのBlueは空の色。空を見上げながら口ずさむフレーズ。『好きだ、』は空や移ろう雲の表情がとても印象的な映画です。

オーケストラのチューニングもA。人間の赤ちゃんの産声もA。だからなのか、天に恵まれた響きのようなホーリーな感覚があります。

菅野さんの音楽はしばしば宗教的といわれていて、ご本人も幼少期にキリストに憧れていたり賛美歌を歌っていたそうなのだけど、このAの使い方も聴く人になにかそういうふうに感じさせる作用をしてるのかもしれないな。誰か詳しい人いたら教えてほしいです。